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LEVEL MAGAZINE(UK)April/May 2000
Milk Rock
| 私が初めて日本を訪れた時、どこに行っても入手不可能な膨大なCDタイトルをしこたまリスト化して持って行った。そのリストの中に、Takako
Minekawa、日本語にするとミネカワタカコ(日本では姓が先)がいた。ほとんどのアーティストには予備知識があったものの、ミネカワのタイトルはちょっとした賭けだったと思う。とりあえず、彼女の三枚あるアルバムのなかから一番新しくて、美しくフォイルエンボスされた初回限定特殊ジャケットのFun
9 (ファンクと発音、日本語でナインは“ク”)を購入した。結局合計31枚もイギリスに持ち帰ったのだが、その中でもタカコミネカワのアルバムが一番良かった。残りのアルバムが酷い出来だったというわけではなく、「この音楽は今まで聞いたエレクトロ・ポップの中でも最も素晴らしくインスパイアされるもの」と批評家がいってるような理由からである。ただ、エレクトロ・ポップという括りは不正確な説明だと思う。部分的には当たっているものの、彼女が創り出す世界の質感や複雑さをいろいろな意味で損なってしまっている。ミネカワと彼女の音楽を手っ取り早く説明するには、ステレオラブのタッチをもったビョークのような日本人を想像してみることだが、これも幅広く変化する彼女独自の世界観をほんのわずか垣間見せるに過ぎない。彼女はエレクトロ・ミュージックの早期パイオニアたちを肯定的に捉え、とりわけKraftwerkに対してKraftpark(1997年発表アルバムCloudy
CloudCalculatorより)で敬意さえ示している。Autobahnの90年代ヴァージョンのようなこの曲は、ドイツのバンドの価値観に沿うような形ではじまり、速度を上げながら生ドラムとボコーダを通した声が組み込まれ、横すべりしながらコミカルなビョーンという音で終わらせている。(プレイステーション、携帯電話のコマーシャルに登場し、多くのエレクトロニクス雑誌には連載を持つなど、彼女は疑いなくよく知られている。)東京に住んでいる友人の一人は、知り合いの女の子たちがタカコの髪型をしていて、親しみを込めて“ミネコ”と愛称で呼んでいると教えてくれた。タカコミネカワは、たとえパートナーのコーネリアスがメタルっぽい傾向を志向し、自分が形式的に対立するエレクトロニクスを偏向しているとしても、ある意味、女性版コーネリアスだといえる。ミネカワは、とっても可愛らしいながらも非常に抽象的な世界を創り出している。そこでは、美しさを湛えながらメランコリックが余韻を残し、驚くべきアイディアと音楽的ランドスケープに満ちている。音楽がつくりだすその空間は、ミネカワサンの存在に宿っているものの一部のように思える。―「私が生きている世界は、ほとんど想像の中の世界です。だから私の歌もたいていイマジネーションの中にある世界なのだと思います。」彼女の人と異なったものの見方は、最新アルバムのパッケージにあるロゴか、あるいは曲名のなかで部分的に使われてるFancy
Work Handicraftsという表題を考えてみるとわかりやすい。彼女にこのことを尋ねた時、その返答は作品に対する明確なアプローチを示していた。―「Fun
9 をレコーディングしていた時に、私たちはプロツールスなどのコンピュータを使っていました。色彩がスクリーンに現れては、音符(音色)とつながり、すべてのことはパッチワークや手芸のように紡ぎだされます。編み物やパッチワーク、ハンドクラフト……など女性の作品のように。これはそんな女性である私が、男性のプロツールに取り組む姿を見て感じたことです。だからfancy
workhandicraftsです。」多彩な音楽的背景は、多層的にエレクトロニクスを堆積しとりわけ古いアナログ器財がその土台を形作っている。彼女のお気に入りには、80年代のカシオVA10(音色は百種、小さくてもパワフル)、Moog
Prodigy 、Mini Moog 、熱中しているソース―「その多くはパッチタイプのシンセですね。ツイスト、ターンするのと同じようにタッチ、プレスができます。ステンレス・スチールみたいになってます。」―が含まれている。これはミネカワとステレオラブの類似点の一つである。つまり、両者とも古いアナログ・シンセを基調とし、概してエレクトロニック・ミュージック的であり、そしてはっきりとフランスからの影響が宿っている。彼らはインタビューで同席したこともあり、最近東京で一緒にライブを行っている。またAgnes
Varda、 Philippe Garrelというような監督などのマイナーなフランス映画に対する興味も挙げられることから、その影響を窺うことができる。彼女はお気に入りのアメリカ人監督の一人、HalHartleに関連する作品を生み出す機会も得ており、この監督の作品のシンプルさと同時にパワフルで独創性に富んでいる点は、非常にタカコミネカワの作品に通じるものがある。ライブでは、電子音源に向かっている際にどう聴衆を魅了するかという困難に直面する。―「ギターだったら、人とからんだり、ヘッドバンキングしたり、感情を露わにしたりできるけど、シンセみたいな楽器では、それがすごく難しいんです。」実際は、一発ノリで行動から先走るようなタイプではなく、自分が十分にやれていないような気がするから、後方の観客が退屈していないかを心配するような人なのだ。ライブパフォーマンスでは、彼女のオリジナリティーと内気さが表に現れているように思える。両方の特徴は同様に魅力的でありながらも、観客を夢のような作りものの世界に連れて行くことに成功している。東京のBape
Worldwide Heads Showにおける一連の曲を演奏するために、彼女はステージ上に三本のギターをセットし電子楽器を調整した後、それぞれのギターでワンコードずつ弾き、彼女自身がアコースティックギターを特別に追加して弾いている間に、それら三つは即座にサンプリング、ループされ、彼女が楽曲を演奏する度に美しいメロディーが生み出された。Stylophoneを使った後、生バンドと一緒に演奏し、彼女は一息いれてから「未知との遭遇」のワンフレーズを演奏した。彼女は、このほんの少しの時間で、その日出演した多くの男性、女性ミュージシャンの中でもひときわ目を引く存在となった。クリエイトに対する不断の興味がリミックスプロジェクト、Ximer
Cloudy CloudCalculator Remixes とRecuded のRoomic Cube Remixesというアルバムを生み出した。それが海の向こうの興味を買うのに役に立ち、彼女の音楽を好む多くのUSバンドをこうしたプロジェクトに参加させている。しかしタカコにとって全く新しい冒険のようなものである。―「私は最近までリミックスについては知りませんでしたし、興味ももっていませんでした。この頃では、リミックスは手紙を書くことに似ていると感じています。アイディアを交換するのです。テープセッションのように、人々の間でテープを行ったり来たりさせるのです。」このことは、Buffalo
Daughter、 Sukia、Cornelius、 Kid Loco、 Oval、 Trans Am やノブカズタケムラをも含んでいる。リミックスは彼女にとっては全く新しいものであったが、コラボレイションはそうではなかった。一人でやるのも誰かとコラボレイトすることも、その時々の彼女のムードや気持ち次第である。―「私が素晴らしく思っている人々と一緒にやることは、非常に創造的であるし、インスパイアされています。」それはおよそすべての共同作業に役立つ行為である。彼女はアイディアを交換する時、互いがインスパイアされより新しいアイディアを生み出し、いつのときもこうして感動を与えるような過程を推し進めることができるのだと説明してくれた。まもなく、タカコミネカワの新しいアルバムが届けられ、イギリスにおけるパフォーマンスの可能性を秘めた活動が始まろうとしている。―「私は乗り継ぎで一日イギリスには寄ったことがあります。カレーの匂いがするホテルHansel
& Gretelに滞在しました。これが私のイギリス経験のすべてです。だからぜったいにもっと経験したいと思います。」 |
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